郡上の外遊人(ソトアソビト)インタビュー 支配人というイメージを覆す⁉︎鷲ヶ岳スキー場の総支配人の素顔に迫る。
豊かな自然環境をはじめ、郡上にはたくさんの宝物がありますが、郡上の“人”もその一つです。
そんな素敵な人たちをご紹介したい!とスタートした、この「郡上の外遊人(ソトアソビト)インタビュー」
今回は、今シーズン50周年を迎えられた鷲ヶ岳スキー場の井森総支配人にお話を伺いました。
井森さんは支配人でありながら、自らSNS発信をしたり、オールナイト営業時のDJをされたり、時には売店のレジに立たれることもあるそうです。
井森さんがいるから鷲ヶ岳に通っているというファンの方もいらっしゃるのも頷ける、ロックでハートフルなお人柄。
「支配人」というと、ちょっと近寄りがたく遠い存在なイメージを持たれがちですが、ちょっと覗いてみてください。
そんなイメージが覆る?、良い意味での裏切りが待っています。
ロックな支配人のハートフルな素顔
僕は名古屋生まれで小学3年生くらいのときに親の実家のある八幡町西和良地域に引っ越してきました。
ど田舎っていう環境が当時は嫌で嫌で。
高校を卒業後はまた市外に出ましたが、長野県のスキー場でアルバイトしたことをきっかけに、スキー場での仕事って楽しいなと思って。
郡上に帰ってきて鷲ヶ岳に就職をしました。
1年目はゴルフ場のフロント、2年目は鷲ヶ岳高原ホテルレインボー、3年目からスキー場の方へ関わることになりました。
接客業は経験がなかったので、初めは正直不安でしたね。
でも、当時は地元の方が結構多くて、僕のことを覚えてくれて、冗談を言い合うような間柄になったりして。そんな中で、「お客さまがどう遊びたいかを読み取ってご案内をする」ということが面白かったし勉強にもなった。
郡上の人にいろいろ助けていただいたり教えていただいて、郡上の人の温かさっていうのをそこで痛感しました。
今思うと、子どもの頃も大人からすごく可愛がってもらってたなぁ。
郡上の人って近所付き合いみんな親戚みたいなノリがあって、家族とかそういう括りは関係ないんですよね。そこも郡上のいいところかな。
郡上で育って、市外へ行って、また郡上へ戻ってきたから、余計郡上の良さがわかるのかもしれない。
総支配人でありながら「SNS担当」
だいぶ手を離れつつあるんですけど、SNS発信もたまにしてます。
15年位前にホームページを立ち上げて、自社のブログのシステムを開発したんです。そのブログをほぼ毎日10年間書いてました。
そうなると、日記だけで1年で365ぺージ、10年も経つと3000ページ以上ある、ものすごくページ数の多いサイトだったんですよ。それで、当時は「スキー場」って検索すると「鷲ヶ岳スキー場」が1番上位に表示されてました。
業者はこれを「ホームページのパワー」って言ってましたが、これは広告かける必要ないですねって言われた事はありました。やっててよかったなって思いましたね。
ある時、北海道の方からメールをいただいたんですよ。
「あなたのブログがすごく面白いので毎日見てます。郡上には行ったことないんですがいつか遊びに行きます。これからも頑張ってください」って。
それがほんとに嬉しくて。
世界の誰が見てくれてるかわからないんだなって励みになりましたね。よりクオリティの高いものをアップしていかないといけないなって思いました。
今はSNSが発展してきて、面白くてクオリティーの高い投稿が誰でも簡単にできるようになりましたね。
10年ブログを書いてきたからもういいやって思う反面、改めてもう一回SNSを極めてみたいなって気はしてます。
オールナイトを盛り上げる
「DJマコトのあなたの知らない世界」
当時はこの地区はじめてのオールナイト営業だったんです。テレビ局も報道も食いついてくれてて取材とか入ってたんですが、オールナイト時のDJやってくれる人がいなくて…。
どうしようどうしよう、とか言いながら、いざ本番を迎えたら、僕がDJをやってるっていう笑。
そこからずっと夜のDJをやってます。考えてみれば、そんな12時とかに人集める方が大変なので、まあ僕がやればいいかなって笑
夜はリクエストやってないので、ほぼネタがないんですよ。なので、ネットニュース見ていろんな時事ネタをまぜつつ、昼間には絶対に流れないような、みなさんの知らない曲ばっかりかけるんです。
「DJマコトのあなたの知らない世界」っていう番組名なんで笑
昔から音楽が好きなので、それがDJに繋がっているのかもしれない。
取材日はなんとダースベイダーでブース入りするDJマコト(井森総支配人)
鷲ヶ岳に長年通う理由は、長い時間ゲレンデを堪能できるということもあるが、井森さんがいるっていうことが重要!と話されていました。
夜なのでみなさんそんなに聞いてないかなーと思って、お気楽な感じで喋ってたんですけど、お客さんから「いつも聞いてます!」とか言われて笑
そう言っていただけるとやっぱり嬉しいですね。
モデルは井森さん⁉︎「タケゾーくん」誕生秘話
当時、ゆるキャラが流行ってて、鷲ヶ岳でもマスコットを作りたかったんですが、普通の可愛らしいゆるキャラって面白くない。もうちょっとエッジのきいたトゲのあるやつがいいなって思ってたんですが、デザイナーさんから提案されるものが、どれもピンとこない。
「もっとこういうイメージでやってよ」って出したのが割とそのまま出来上がってきた感じです笑
僕が描いたってだけで似せて描いた訳ではないですけど、実際似てるって言われます。
タケゾーくんの着ぐるみで、お子さんを泣かせちゃったこともあるし、ゆるキャラといいながらぜんぜんユルくないですが。それも思惑通りです笑。
支配人としての真の仕事。
どんな仕事も大事ですが、支配人としての最も重要な仕事は、トラブルがないようにすること、もし起きてしまった時はそれを解決することです。
大事なのは、お客さまがいかに困らないようにするかということですね。
スキー場って特殊で、山の木を切っただけのところに電気や水を引いて、トイレ作ってリフトかけて、「スキー場」っていう環境を作っているので、お客さまがここで過ごす全責任を背負ってるんですよ。
極端な話、人の命に関わることが起きては絶対にいけない。
トラブルが起きないように普段から万全の準備をし、お客様に何事もなく過ごしていただく。
これは当たり前のことなんですが、一番大事だし意外と難しかったりするんです。
もう一つは従業員を見守ること。
例えば、なにか問題が起きたとき、従業員が自分で解決できることもいっぱいあるので基本的には見守って最後まで出ていかないようにしていますけど、中にはどうにもならないこともある。
そういう時にアドバイスをしたり、今までの経験を生かして最適な答えを出してあげる。実際に自分が出ていって対処したりすることもあります。
支配人として全体の責任を取ることが重い仕事かな。
鷲ヶ岳の今後の展望
昨年はプレオープンという形で、アルプスアドベンチャーを8月にオープンし、その後キャンプサイトや車中泊サイトをオープンしました。夏の事業の種まきは昨年できたかなと思っています。
夢はこの辺一帯をアウトドアのテーマパークにすること。プールはあるし、アルプスアドベンチャーはあるし、山頂バギーとかいろいろなアトラクションがあって、泊まることもできる。年中この山で楽しめるようにしていきたい。
郡上のこの環境が保たれてきたのも、郡上の人の力があってだと思っているので、その宝とも言える郡上の自然を生かして、郡上の良さを知ってもらえるような取り組みをしたいなと思います。
それが、この豊かな自然環境をこの先も守り継いでいくということに繋がっていくのかなと思っています。
◎鷲ヶ岳スキー場 https://ski.washigatake.jp/
公式インスタグラム @gujo.outdoor.exp